うつの復職は2時間歩けるようになってから!

更新日:2017.07.14

執 筆:整体師&カウンセラー 鈴木直人

最近、休職からの復職について質問されることが多いので、ブログのテーマを今回、次回と二回続けて復職法にいたします。


復職を考えている方へ

うつや自律神経失調症で休職をされている方、または、一度退職をして回復後にまた就職をしようとしている方には参考になる情報となります。

ここで紹介する復職法は、十分に休養を取っており、症状も改善してきて、復職を現実的に考え始めた方向けに書かれています。

そのため、休職したばかりの方や症状が悪化したままの方は、まずは十分に休養を取り、専門家の指導の下で体の回復を目指して下さい。

では復職法のお話をします。

まず、知っておく必要があることは、復職の成功率は一度目が一番高いということです。正確な数字は忘れてしまいましたが、私の記憶をたどると、一度目の復職後、5年後も休職せずに働いている方の割合は約50%、二度目の復職後は30%、そして三度目は10%。

この数字は正確ではありませんが、重要なことは「一度目の復職が、一番成功率が高い」ということです。

つまり、ちょっと症状が良くなったからといって安易に復職せずに、きっちりと復職できる体制を整えてから復職する必要があります。

では、復職できる体制とはどんなものなのでしょうか?
それは以下の要素になります。

  1. 体力をつけること
  2. 対処能力を付けること
  3. 自己尊重感を持つこと

1.体力をつけること

例えデスクワークであっても、働く基本は体力です。そして体力とは、筋肉があるとか柔軟性があるということではなく、自律神経が強いということなのです。

実は体力の基本は自律神経の力なのです。うつや自律神経失調症で仕事を一時休んでいる方は、まさに自律神経が弱くなっているのです。

ではどうやって自律神経を強くしていけばいいのか?
それは体を動かすことです。
つまり、運動です。

なんだ、やっぱり筋肉を鍛えるんだ。
と、思う方もいるでしょうが、そうではありません。

自律神経を鍛えるためには、筋肉を鍛えるのではなく、筋肉を動かすだけなのです。
例えば、イスに座っている状態から立ち上がるとします。
(体を少しでも動かせば解剖学的には「運動」と呼ばれます)
実はこの時に、自律神経も大幅に動きます。

例えば、イスから立ち上がった時には脳の位置が高くなります。
すると、血圧を上げないと脳に血液がいかなくなり、脳の機能が低下します。
これが起こると起立性低血圧ですとか起立性調節障害などと言われます。
これは自律神経の働きが低下していることで起こるのです。

また、座っている状態から立ち上がればバランスがより不安定になります。
すると三半規管が働いて平衡感覚を保ち、ふらつかないようにします。
これも自律神経の働きになります。

つまり、体を少しでも動かせば必ず自律神経が働くようになっているのです。
ですから、自律神経を鍛えるには体を動かす必要があるのです。
筋肉を鍛えるためではなく、自律神経を鍛えるために体を動かす必要があるのです。

では、どれくらい体を動かせば自律神経が復職に耐えられるぐらい鍛えられるのでしょうか?
これは人それぞれ復帰する職場環境や仕事内容によりますが、

私の経験でいうと、2時間連続して「歩くことだけを目的として歩く」ことができる体力が付くと、復帰に耐えられる自律神経が鍛えられます。
「歩くことだけを目的として歩く」ですから、買い物をしながらとか、犬の散歩をしながらというのは含みません。


2時間歩ける体力が必要!

このように自律神経を鍛えながら、毎朝時間通りに起きる、新聞を読む、電車に乗ってみる、など、仕事に耐えられる体力を付けていくのです。

重要なことは、2時間連続して歩けない体力では、軽めの仕事でも体が疲れてしまい、その体の疲れに引きずられるように心が疲れてしまうのです。
そして疲れた心は、気持ちを落ち込みやすくしてしまい、仕事への意欲や生きることへの楽しさを削ぎ落としてしまうのです。

ですから、2時間連続して歩ける体力をつけるのはとても重要なのです。
特に会社が復帰のための時短勤務等を許可していない場合は、いきなり8時間のフル勤務になりますので、体力がなければ勤務を続けるのは厳しくなります。

日本も経済状況が厳しく、余裕のない会社も多いので自分自身で対策を行う必要があるのですね。

今回は少し長くなりましたので、ここでいったん切り上げて、

2. 対処能力を付けること
3. 自己尊重感を持つこと

この2つは、次回のブログでお話しいたします。


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