前回は、色々なものに揉まれ流された大学時代のお話でした。
今回はいよいよ社会人編(前半)です。
就職先はIT系の会社で、システムエンジニアとして働き始めます。
大学で専攻していたのは美術史なので、真逆もいいとこです。(その後さらに整体師なので、振れ幅ハンパないですね。)
もちろんプログラミング未経験、ブラインドタッチにほど遠い手つきのド素人でしたが、5ヶ月間の研修を経てなんとか普通の人になれました。
仕事内容はと言うと、とある会計ソフト(経理などが使うもの)を企業(顧客)の使い方や要望に合わせてカスタマイズしたり、データのメンテナンスをしたりといったものでした。
ITとかSEには忙しいイメージがつきまといますが、わたしはタクシー帰りと深夜駆けつけが1回、終電帰り数回しか経験がありません。
基本的には客先に出勤して仕事をし、地方の場合は自社で作業とたまの出張。オフィスの設備や社風、街の雰囲気など、案件ごとの変化を楽しんでいました。
SE時代を経て社会人としての基礎はもちろん、思考力や説明力、ものごとを捉える力が格段に上がったように思います。(もとがほぼゼロでした。)大人と対等に話ができると、世界が広がりますね。
そしてPCスキル。「パソコン苦手じゃない」はちょっと強い。
先輩の電話で起きたり(つまり寝坊)、お叱りの電話に涙したり、出張先で先輩の密会現場に鉢合わせたり...失敗を含め色々ありながらも、約7年半も勤めることができました。
めったに飲みの誘いを断らなかったので、お酒好きの先輩と仲良くなることが多く、おかげで人間関係に悩むことはほとんどありませんでした。(最後の「飲みニケーション」世代かも。)
となると、悩みの種は「自分の仕事の仕方」。自分の話をする、人に相談する、人を頼る、ということが元来苦手だったので、行き詰まってもギリギリまで抱え込んでしまうのでした。とくに納期のある仕事では致命的過ぎます。やっぱり大事、ホウ・レン・ソウ!
幸い、視野の広い先輩や上司に恵まれ、何かしら危機を察知して声をかけてくれたので大ごとになることはなかったのですが、一部にはだいぶ迷惑をかけていました。「一見そつなくこなしているようで内実ダメ」という、大方の評価と一部&自己評価のギャップに苦しんでいたのです。
そんな調子で、5年目を過ぎたあたりから漠然と「この仕事ずっとやるのかな...このままではダメな気がする...」という思いが頭をもたげ始めます。
実際やめるに至った理由は多々あるのですが、いちばん根っこにあったのは、「何かを大きく変えなくちゃ」という思いと、「自分の人生をきちんと選びたい(選んだ、という自信を持ちたい)」という気持ちだったのでは、というのが現在の分析です。
レールに乗って「なんとなく」でここまで生きてきたので...。
次回、その後の「選択」から現在に至る物語でいよいよ完結です!