ドライマウスの治療法

更新日:2014.07.17

執 筆:整体師 田島健次

ドライマウス改善のための第一歩は、原因の特定から

~ 「ドライマウス」vol.3 ~

ドライマウスになる原因は1つではありませんので、まず原因を特定してその除去が重要になってきます。まず基礎疾患の糖尿病や腎疾患のある場合は、その治療に専念しましょう。ドライマウスが辛いかと言ってその治療を疎かにして基礎疾患が悪化するようでは意味がありません。

勝手に薬をやめてしまうと治したい症状を悪化してしまう恐れがありますので、処方してくれた担当の先生に相談をして変更、減量してもらいましょう。

ドライマウスの治療薬、漢方

  1. セビメリン塩酸塩水和物(サリグレン・エボザック)
  2. ピロカルピン塩酸塩(サラジェン)
  3. アネトールトリチオン(フェルビテン)
  4. 漢方薬(麦門冬湯・白虎加人参湯)

この4つの治療薬は、唾液分泌促進効果のある薬剤です。 ドライマウスの症状により飲む薬も変わりますし副作用もありますので、治療薬の服用は医師の指示に従いましょう。

ドライマウス治療のためのトレーニング

「老化」「筋力低下」「シェーグレン症候群」が主の原因の治療法は口腔機能療法(OralFunctional Therapy:OTF)がよいでしょう。OTFとは、筋機能療法(Myofunctional Therapy:MFT)を応用した口唇や舌運動を促進することによる唾液分泌改善と、口閉鎖の是正や呼吸法、姿勢、生活指導を行うドライマウスの治療法です。

筋機能療法(Myofunctional Therapy:MFT)のトレーニングを行います。舌や口腔周辺筋の筋肉アップにより正しい嚥下方法を身につけます。口呼吸に効果があると言われている治療法です。

ドライマウスの治療法1「舌運動」

  • ポッピング(舌うち):1日2回(1セット20回)
    舌尖を口蓋の切歯乳頭付近ではじき、音を出します。舌下腺の刺激とともに舌の動きをよくします。
  • オープン&クローズ:1日2回(1セット8回)
    舌を吸い上げながら口を開けたり閉じたりします。舌下腺・顎下線への刺激
  • タングドラッグ:1日2回(1セット8回)
    舌を吸い上げながら硬口蓋から軟口蓋へと移動させる。口蓋腺への刺激と舌位の安定をはかります。

ドライマウスの治療法2「舌・咀嚼力の強化」

  • スラープスワロー:1日1回(1セット左右10回ずつ)
    歯を噛み合わせた状態で口唇を開け、口角から臼歯部に向かってスプレーで水を入れ、吸い込むようにして飲みます。舌側方部と臼歯部周囲筋の強化と嚥下機能向上

ドライマウスの治療法3「舌・嚥下機能の強化」

  • 「カッ」!スワロー:1日1回(1セット8回)
    口を大きく開けてお腹から「カッ」と言い、口を開けたまま、軟口蓋に向けてスプレーで水を入れそのまま飲み込みます。舌後方と咽頭部の意識を高めます。

ドライマウス治療4(口唇運動)

  • イーウー:1日2回(1セット20回)
    歯を噛み合わせた状態で「イーウー」と言います。口唇腺・頬腺への刺激
  • ボタンプル:1日2回(1セット20回)
    歯を噛み合わせた状態で、前歯と口唇の間にボタンを挟み引っ張ります。口唇腺への刺激と口唇閉鎖力の強化

ドライマウス治療の改善ポイント

ドライマウス改善ポイント1「呼吸法・姿勢」

口唇閉鎖の是正や呼吸法、姿勢の指導により口呼吸を改善させます。姿勢が悪いと口呼吸や舌の位置が安定しないため、正しい姿勢を指導して鼻呼吸出来るようにする。
正しい姿勢の指導を受けてもなかなか姿勢が改善しない場合は、整体やカイロプラクティック等で姿勢の矯正をすると良いでしょう。

ドライマウス改善ポイント2「うつや自律神経失調症」

うつ、自律神経失調症が原因でドライマウスになっている方は、うつや自律神経失調症の治療が必要となります。
病院で治療を行う場合もあれば、当院のようにうつや自律神経失調症に対応できる整体院などを利用するのもお勧めです。

また、先ほどお伝えした4つのストレス(精神的・構造的・化学的・温度と湿度)のどのストレスを受けているかを考え、たくさん受けているストレスに対して対処するといいでしょう。

※どのストレスを受けているのかをチェックしたい場合は「ストレスチェック」のページが便利ですのでご活用ください。

ドライマウス改善ポイント3「食生活」

食生活指導による生活習慣の改善もポイントです。適切な食生活の提案や噛みごたえある食事の提案。唾液分泌は、自律神経の支配を受けているので生活リズムの安定が自律神経の安定に繋がるため、生活状況の改善を指導する。(化学的ストレスと精神的ストレスの軽減)

ドライマウスの対処法

ドライマウスの対処方法は、薬と違い副作用がなく薬より口腔内の不快な症状を素早く取り除く事が可能です。どの原因のドライマウスにも対応可能なのが特徴である。

ドライマウス対処法1「人口唾液」

スプレータイプが多く、喉が乾いた時にお水を飲む変わりに口の中に数回使用するものです。特徴は、唾液とほぼ同じ成分が使用されていて保湿効果に加え甘味、酸味の刺激による唾液分泌刺激効果も期待できるようです。手間がかからないのもいいですね。
欠点は、液体なので長時間維持が出来ないと言う所があります。

ドライマウス対処法2「保湿ジェル」

特徴は、唾液にほぼ近い成分が使われている。ラクトフェリンやリゾチームといった抗菌物質や上皮細胞成長因子が含まれ粘膜修復作用もあるようです。口の中に留まりやすいのがスプレータイプより長いですが、口の中がネバネバする欠点もあります。

ドライマウス対処法3「保湿配合洗浄液」

うがい薬のように使います。保湿効果が高いですが、液体なのでジェルに比べると長くは、維持出来ません。

ドライマウス対処法4「保湿装置」

モイスチャープレートといい、患者の歯型や上アゴに合わせつくられます。入れ歯のプレートやマウスピースの様なものです。特徴は、睡眠中に口が乾いて辛い人にお勧めで、保湿液など湿らせた物を入れておくと口腔内に少しずつ供給されます。

日常で使えるドライマウス対策

ドライマウス対策で、日常で注意することを細かくまとめてみましたので、以下を参考にしてみてください。

  1. 口腔内の湿潤に気をつける。
    口に中を潤す事が、ドライマウスには重要です。こまめに水分を摂取しましょう。その時、糖分の入った飲み物は、虫歯や糖尿病になりやすく、コーヒー、お茶も利尿作用があるため体内の水分が排出されるため脱水状態になりやすく唾液分泌が低下します。
    コーヒー、お茶はカフェインが含まれているので、交感神経が働きやすくなり、これも唾液の分泌が阻害されます。きれいなお水がいいでしょう。アルコールは水分になりません。
  2. 部屋の湿度にも注意。
    乾燥すると菌、ウイルスが繁殖しやすいので風邪を引くと鼻が詰まり、口呼吸になり口腔内の乾燥しやすくなりドライマウスになります。
  3. 口腔内を清潔に 唾液の分泌量が減ると口の中が不潔になり口臭の原因になります。歯磨きやうがいを毎日必ず行うことがドライマウスの対策となります。
  4. 咀嚼回数を増やす。
    口の周りの筋肉が衰え咀嚼の回数が減ると唾液の分泌が低下しドライマウスになります。筋肉が衰えないようによく噛み、歯ごたえのある物を食べるようにしましょう。ガムや飴を食べるのもドライマウス対策として有効です。(シュガーレスがお勧めです。)
  5. 軽い運動を行う。
    自律神経が唾液腺をコントロールしているのは、お伝えしました。ストレスで自律神経が、乱れますのでストレスに負けない心身を作るために適度な運動で身体を鍛え、身体を動かす事でストレス発散をしましょう。激しい運動は、逆効果になりますので自分の体力にあった運動をお勧めします。ストレッチやウォーキング等。

ドライマウス増加の原因(まとめ)

色々とお伝えしてきましたが、ドライマウスは様々な治療法、対処法があります。ドライマウスは現代病の1つです。ストレス社会と言われ続け、何年も経過しています。しかしいつの時代もストレスはあったでしょう。なぜ、今は現代病(うつ、自律神経失調症など)が年々増え続けているのでしょうか?

私は、原因は2つあると思います。

ドライマウス増加の原因1「インターネットの普及」

1つ目は、インターネットの普及でしょう。
情報社会で便利になり物凄いスピードで情報が流れ社会が進みそれに対応しようと、頑張り過ぎてしまい脳や身体が疲れしかし休んだら世の中から取り残されるという強迫観念が出てしまい、また頑張り身体がついていけなくなっているのだと思います。

ドライマウス増加の原因2「食生活の変化」

2つ目は、食生活の急激な変化でしょう。
日本は、戦後急激に発展して食文化も欧米の高カロリー、高タンパク質に変わり、身体が新しい食の消化分解に間に合わず、身体の不調が出てきているのだと思われます。現代病の1つであるドライマウスは生死に直接関わる事は、少ないですがドライマウスは、重大な病気になる前の身体からの警告信号と捉えましょう。

口が乾く事により、口臭が気になって人と会話したりすることが出来なくなります。これをストレスと感じる人は多く、元々ストレスが多くてドライマウスになっているのに、更にストレスを抱え込むことになります。

ストレスがたまると自律神経失調症やうつ、そして引きこもりになる恐れもあります。また、唾液が分泌されない事でウイルスに感染しやすくもなります。更に味覚が鈍感になるため、味の濃い食べ物を食べるようになります。すると高血圧になり、心臓病や脳梗塞にもなる可能性も増えます。

最近では、柔らかい食べ物が流行っているため、噛む回数が減ることで顎関節症や舌痛症の人が増えています。口の乾きを軽視しないで身体からの警告信号と思い、日常生活を改めることにより健康でより良い生活が送れるでしょう。

~ 参考文献 ~

  • 「現代病」ドライマウスを治す。
    発行:2007年05月21日、株式会社 講談社
    著者:斎藤一郎、発行者:野間佐和子
  • これで解決!!ドライマウス
    発行:2009年03月08日、株式会社 永末書店
    著者:中川洋一 斎藤一郎、発行者:永末摩美
  • ドライマウス 今日から改善・お口のかわき
    発行:2010年06月25日、株式会社 医歯薬出版株式会社
    著者:阪井丘芳、発行者:大畑秀穂
  • ストレスは、見える!すべては「噛みしめ」が原因だった
    発行:2009年06月20日、みずほ出版新社 株式会社
    著者:亀井英志、発行者:羽田直仁

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