愛すること、愛されること

更新日:2021.03.19

執 筆:整体師 角道征史

これまでに、脳は、体の脳・心の脳・頭の脳と三層構造になっているということをお伝えしました。
それに見合った欲求や幸せを人は求めるということでしたね。

前回の、性欲と恋愛のお話に引き続き、今回は愛情についてみていきましょう。

恋と愛

人間の三大欲求である食欲・睡眠欲・性欲、いわゆる体の欲求が満たされ、安全が保障されてくると、その次には心の充足を求めるようになります。
土台である体の欲求が満たされているので、心を満たしたいと思うようになるわけです。

体の欲求の最終段階、種族の維持のために必要だった恋愛感情は、最大でも3年程度で薄れてしまいます。
恋をするときに、ドーパミンをたくさん出すことで感じていたドキドキやトキメキ、幸福感などは薄れていきます。
そして、そのままだと、いわゆる倦怠期に突入してしまい、場合によっては関係が終わってしまうこともあります。

そこで、そこからさらに関係性を発展させるためにも、ドーパミンに代わる幸せホルモンの分泌が必要となります。

それが愛情ホルモン、オキシトシンです。

オキシトシンは、セックスやハグなどの皮膚コンタクトや会話によって分泌されるため、いかに多くの時間を共有できるかが大切になってきます。
当然のことながら、一緒にいることを楽しく感じられたり、ホッとできたりすることが大切です。
在宅勤務になって良かったという方は、オキシトシンが充分に分泌されているのではないでしょうか。

「恋は下心、愛は真心」というフレーズがあります。
恋という漢字の下側に心があり、愛という漢字の真ん中に心がある。
種族の繁栄を発端として、生命をつなぐため、また、自分の欲求のために相手に求めるのが恋。
そして、ただ生命をつなぐだけでなく、育んでいく。そのために、ときに自分を犠牲にしても、相手を尊重するのが愛。
相手に要求だけをするのではなく、思いやりを持つことが、幸せなパートナーシップにつながるのですね。

恋愛と種の繁栄

パートナーとの関係以外でも、愛する気持ちを抱く関係性はたくさんあります。
親・子・祖父母・孫・兄弟・友達・先輩・後輩・師弟・ペットなどなど。
それぞれの関係が、お互いを尊重できるような存在であり、好きという心地よさのある関係ならば問題ありません。
こうした、人やペットとの触れ合いによってもオキシトシンは分泌されます。

ただ、関係性はあるのだけれど、どうしても相手を愛することができない、という場合もあります。
そのときは、先に自分を充電する必要があります。
別の所でオキシトシンを出すことで、愛が充填されるようになります。
自分が愛されることで、人を愛することができるようになり、自分が元気になることで、相手へも寛容になることができるのですね。

心が満たされるためには、触れ合うことが大切です。
スキンシップによって体が触れ合うこと。
直接の会話によって心が触れ合うこと。
ズームや電話などで、間接的に姿を見て声を聞くこと。
最低ラインとして、SNSやメールでの言葉上のコンタクトでも、つながりは感じられます。

現在のような自粛生活が続くことで、人とのコンタクトが減少し、オキシトシンの分泌が充分になされないと、幸福感は減り、逆にストレスが増大して、どんどん元気がなくなっていきます。
自粛疲れから抜け出すためにも、オキシトシンをしっかり分泌できる場所を確保したいものです。


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