苦痛が大きいほど喜びも大きい

更新日:2021.06.25

執 筆:整体師&カウンセラー 鈴木直人


苦痛は感じた方がいい!?

今回は、「苦痛が大きいほど喜びも大きくなる」というお話をさせていただきます。

とっても道徳的に聞こえますが、実はこれ、神経の働きのことなのです。
つまり神経というのは、苦しみを感じるほど喜びも感じるという性質を持つのです。

苦しい時代を乗り越えるとき体は...

いきなり重い話ですが...

  • 幼少期の虐待
  • 長く続く体調不良
  • 疲労困憊が続く毎日

これらは体にとって非常に苦痛です。
そのため、体はありとあらゆることを行います。
それでもこれらの問題から逃れられないとき、体は「解離(かいり)」という状態になり、苦痛を和らげようとします。

解離とは、無意識的な防衛手段であり、感覚・記憶・思考・感情・意思などをまとめる能力が低下することをいいます。
つまり、苦痛ならば...

  • 感じない方がいい
  • 記憶していない方がいい
  • 感情的にならない方がいい
  • 意思などない方がいい

というように無意識は感じ取るのです。

まるで幽体離脱するかのように、自分の体から魂が抜けだしているような感じになります。
すると、あたかも自分の体が他人の体のように感じます。

つまり、解離が起きると、苦痛があってもそれは他人に起きているように感じられるのです。
そのため苦痛がやわらぐのです。
これは神経機能の「感じる」という働きを低下させることで行っているのです。

これは非常に危険です。
なぜなら、苦痛を感じなくなるとその苦痛から逃れようとしなくなるため、苦痛を受け続けてしまうからです。

例えば、沸騰したやかんを触ったら「熱い」という苦痛を感じます。
すると、一瞬にして手を引っ込めます。
もし、この苦痛が感じられなければ、手はやかんに付いたままになり火傷してしまいます。
しまいには火が燃え移って手まで燃えてしまうかもしれません。


苦痛はちゃんと感じた方がいい

つまり、苦痛を感じにくくなると、苦痛を受け続けることになるのです。
さすがに手に火がつけば分かるかもしれませんが、ご自身の肩こりや体の冷え、あるいは体のゆがみに気付かないことは多々あります。

症状が改善するときは...

長くうつや自律神経失調症などの症状をお持ちの方は、多かれ少なかれ「解離」が起きていることがあります。
そのような方は、「感じる」という神経機能が低下して、

  • 自分の体が自分の体のように感じない
  • いままで楽しかったことをしていても楽しくない
  • 味が分からない
  • なんだかいつも体が浮いているような気がする
  • 体がうまく動かせない

といった感覚になります。

そして解離が起きている患者さんは、症状が治っていく過程で苦痛を感じ始めます。
例えば...


冷えはちゃんと感じた方がいい

  • 症状は良くなっているのに肩こりがし始めた
  • 体が冷えてきた

などがありますが、これらは神経機能が改善され、解離で感じなかった感覚が戻ってきているのですね。

苦痛と喜びは同じ

神経的には...
苦痛を感じにくいときは喜びも感じにくくなっています。
なぜなら、同じ「感じる神経」が働くからです。
苦痛も喜びも感じなければ、人生がとてもつまらないものに思えてしまいます。

もちろん、痛みや辛さが続くのは嫌なものですが、それらの原因にきちんと対処して 喜びもきちんと感じられるようにしたいですね。
では、そのためにはどうしたらいのか?

以前、ブログで色々とご紹介いたしましたが、機会がありましたら再度ご紹介いたします。
ブログもあまり長くなると読むのが大変になりますので、今回は「苦痛を感じにくくなると喜びも感じにくくなる」ということだけでも覚えていただければと思います。

これらの情報が参考になると幸いです。


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